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「AIやロボットに仕事を奪われるのでは?」と不安に思ったことはありませんか?
Claudeを開発するAnthropicが、その疑問に数字で答える調査を発表しました。結論は「できるけれど、まだ高すぎる」です。この記事では、調査の中身と日本の働き方への影響をやさしく解説します。
2026年9月30日、Anthropicは研究レポート「Can we predict the jobs robots will do?(ロボットがする仕事は予測できるか?)」を公開しました。
執筆したのは、同社の経済研究チームに所属するRussell Legate-Yang氏とMaxim Massenkoff氏です。
Anthropicはこれまで、ClaudeのようなLLM(人間みたいに文章を書けるAI)が仕事にどう影響するかを調べてきました。
今回はその対象を、荷物を運ぶ・車を運転する・掃除をするといった「体を使う仕事」に広げた形です。
ちなみに、AIの研究会社がロボットの経済分析を出すのは珍しいことです。それだけ「フィジカルAI(現実世界で体を動かすAI)」への関心が高まっていると言えます。
調査では、米国の職業データベースO*NET(オーネット)を使いました。約900の職業に含まれる作業のうち、体を使う7,594種類の作業が対象です。
それぞれの作業について、Claudeが「今あるロボットでできるか」を判定しました。判定は次の4段階です。
判定には、実際に使われているロボットの事例が参考にされました。たとえばWaymoやTeslaの自動運転車、Amazonの倉庫ロボット「Vulcan」、Boston Dynamicsの荷降ろしロボット「Stretch」などです。
さらに、作業ごとに「その仕事でどれだけ時間を使うか」で重みづけをしています。よく行う作業ほど、結果への影響が大きくなる仕組みです。
結果を見ると、体を使う作業の74%は、ロボットが何らかの形でこなせると判定されました。
働く時間ベースで見ると、全労働時間の34%が「今のロボットでできる作業」に当たります。
LLMで代わりができる事務作業と合わせると、仕事全体の約8割がAIかロボットの影響を受ける計算です。LLMだけなら約半分なので、ロボットを加えると一気に範囲が広がります。
ところが、「人間を雇うより安くなる」作業に絞ると、わずか0.3%でした。
ロボットのコストには、本体価格だけでなく、設置工事、保守、ソフトウェア、電気代、見張る人の人件費、保険、廃棄費用まで含めています。
本体などの初期費用は、約10年の寿命と年8%の資金コスト(お金を借りたときの利息のようなもの)で1年あたりに割り振りました。
ロボットの価格は1990年代から年3%ほど下がってきたそうです。このペースが続いても、割安な作業が10%に届くまで約40年かかると試算されています。
職業別で最もロボットにさらされている(エクスポージャーが高い)のは、タクシー運転手でした。影響度を示す指数は2.2で、全職業でトップです。
シャトルバスの運転手、お抱え運転手、倉庫作業員も上位に並びました。どれも仕事時間の大半が「運転」や「荷物運び」に使われるためです。
病院で薬を届ける作業も、配送ロボット「RelayRx」があるため影響が大きいとされました。
反対に、ロボットにできない(E0)と判定された作業の例は次のとおりです。
調査によると、体を使う作業の約70%で「つかむ・扱う」といった手先の能力が壁になっています。さらに14%は規制で、約25%は「人にやってほしい」という好みでロボット化が止まっています。
コスト面で人間に迫っている代表例が、梱包作業員です。梱包の作業の約97%はロボットでこなせると判定されました。
約14人分の仕事をこなすロボットシステムは、導入に200万ドル(約3億円、1ドル=150円換算)以上かかります。それでも1人分あたりの年間コストは約4万5,000ドル(約675万円)です。
梱包作業員の年収は約4万9,000ドル(約735万円)なので、ロボットのほうが年間約2,500ドル安くなります。
一方、溶接工ではロボットのほうが約5倍も高くつきます。皿洗いや清掃員は賃金が低いぶん、ロボットが数倍割高になってしまいます。
ある通販会社の物流センターを想像してみてください。毎日数万個の商品を箱に詰めて出荷しています。
この現場では、すでにロボットのほうが少し安い計算です。人手不足が深刻なら、導入の判断はさらに早まるでしょう。ただし、最初に3億円クラスの投資が必要なので、大手から先に進むと考えられます。
次に、街の美容室を思い浮かべてみましょう。カラーリングは手先の器用さが必要で、お客さんも「人にやってほしい」と感じやすい作業です。
調査の判定でもE0(ロボットにはできない)でした。美容師の仕事がロボットに置き換わる日は、当分来そうにありません。
最後に、地方のタクシー会社です。運転は技術的にロボットが得意な作業で、Waymoは2027年に東京で無人タクシーを走らせる計画も出ています。
ただ、日本では道路交通のルールや地域の受け入れが大きな壁になります。調査が示した「規制」と「好み」の壁が、そのまま当てはまる例です。
実は、似た結論の研究は以前にもありました。2024年にMITのCSAIL(コンピューター科学・AI研究所)が発表した調査です。
MITは画像認識AIに絞って分析し、AIで置き換えられる作業の賃金のうち、割安になるのは23%だけだと結論づけました。米国経済全体で見ると約0.4%にすぎません。
項目Anthropic(2026年)MIT CSAIL(2024年)
対象ロボット(体を使う作業)画像認識AI
技術的に可能な範囲体を使う作業の74%賃金の1.6%
人間より安い範囲作業の0.3%経済全体の約0.4%
評価の方法Claudeが7,594作業を判定研究者がモデルで試算
2つの研究に共通するのは、「できること」と「お金に見合うこと」の間に大きな差がある点です。
Anthropicの調査は、50年分の雇用データとも照らし合わせています。1977年以降、ロボットにさらされた仕事ほど賃金と雇用が下がってきたことも確認しました。つまり、この判定方法には一定の信頼性があると言えます。
この調査は米国のデータがもとなので、そのまま日本に当てはまるわけではありません。
ただ、日本はもともと工場でのロボット活用が進んでいる国です。そのうえ少子高齢化で、物流・介護・建設などの人手不足が深刻になっています。
人が集まらない分野では、賃金が上がるほどロボットの「割安ライン」に早く届きます。人手不足がコスト差を縮めるという点で、日本は米国より早くロボット化が進む可能性があります。
とくに影響が大きそうなのは、通販の梱包・仕分け、倉庫内の運搬、病院内の配送などです。逆に、美容・介護の直接ケア・現場の組み立て作業は、しばらく人の仕事として残りそうです。
働く人にとっては、「ロボットと一緒に働く」ためのスキルが今後の強みになるでしょう。機械の操作や見守り、トラブル対応などがその例です。
いいえ。74%は「技術的にできる」作業の割合です。人間より安くできるのは0.3%だけなので、すぐに大量の置き換えが起きるわけではありません。
タクシーやシャトルバスの運転手、倉庫作業員、梱包作業員などです。運転と荷物運びは、すでに実用的なロボットがあるためです。
研究チームは、50年分の雇用データと照らし合わせて検証しています。ロボットにさらされた仕事ほど、実際に賃金や雇用が下がっていたことが確認されました。
変わる可能性があります。レポートでも、人型ロボットや新しい製造方法でコストが下がる余地を認めています。ただし時期は不確かで、規制や人の好みという壁も残ります。
調査は米国のデータなので、数字はそのまま使えません。ただ日本は人手不足が深刻なため、物流などの分野ではロボット化が早まる可能性があります。
自分の仕事のうち「運転」「運搬」「梱包」にどれだけ時間を使っているか、一度書き出してみるのがおすすめです。
この記事は AI Friends からのクロスポストです。