
企業がクラウドファンディングを始める時、 「リターンは何を用意したらいいですか?」 という相談があります。 新商品なら、商品そのもの。 店舗なら、利用券。 イベントなら、参加券。 まずはそれで問題ありません。 でも僕は、 **「何を返せるか」だけではリターンを考えません。** 誰が支援するのか。 なぜその金額を払うのか。 クラファン後にどうつながるのか。 まで考えます。 僕にとってリターン設計は、 **商品を並べることではなく、支援者の参加方法をつくること。** です。 ## まず「誰が支援するのか」を分ける 企業クラファンでは、支援者がひとつのタイプとは限りません。 たとえば新商品なら、 商品を初めて知った人。 既存のお客さん。 会社そのものを応援している人。 まとめて購入したい人。 取引先。 企業スポンサー。 などが考えられます。 同じプロジェクトでも、支援する理由は違います。 だから僕は、 「3,000円、5,000円、1万円のリターンをつくろう」 と価格から考えるより、 **まず誰が参加するのかを整理します。** 人が見えてから、その人に合ったリターンを考えます。 ## ① 主役になるリターンを決める 企業クラファンでは、 リターンをたくさん並べる前に、 **今回、一番選んでほしいものは何か** を決めます。 新商品なら、基本となる商品。 店舗なら、来店につながる利用券。 イベントなら、参加チケット。 この「主役」が分かりやすい方が、支援者も選びやすくなります。 リターンが20種類あっても、 何を選べばいいか分からなければ動きにくい。 だから、 **まず主役を決めて、その周りに選択肢をつくる。** という順番で考えます。 ## ② 安くすることだけを価値にしない 新商品のクラファンでは、 「一般販売価格より20%OFF」 のような先行価格を使うことがあります。 もちろん、それもひとつのメリットです。 でも、 **安いから支援される** だけの設計にはしたくありません。 先行して手に入る。 限定仕様がある。 開発段階から応援できる。 イベントに参加できる。 開発者の話を聞ける。 企業やプロジェクトに関われる。 など、 価格以外の理由も考えます。 クラファンは通常販売とは違います。 だからこそ、 **「今ここで支援する意味」** をつくることが大切です。 ## ③ 一般販売価格との関係を先に考える 企業クラファンでは、クラファン後に一般販売するケースが多くあります。 だから僕は、リターン価格を決める時に、 **一般販売価格を先に考えます。** クラファンだけ安く売りすぎて、 一般販売が始まったら誰も買わない。 という状態は避けたい。 反対に、 クラファン価格と一般販売価格がほとんど変わらず、 「今支援する理由」がないのも弱い。 一般販売へつなげるなら、 クラファン価格。 一般販売価格。 原価。 送料。 手数料。 利益。 まで見ながら設計します。 クラファンだけを売ればいいのではなく、 **その後も売れる価格設計** にしておく必要があります。 ## ④ 数量違い・セット違いで選びやすくする 商品クラファンでは、 同じ商品でも、 1個。 2個セット。 3個セット。 家族向け。 企業向けまとめ買い。 など、数量を変えるだけでも参加方法を増やせます。 ここでも、 種類を増やすこと自体が目的ではありません。 一人で使う人。 家族で使う人。 友人と買いたい人。 会社で使いたい人。 それぞれに合う選択肢を用意します。 僕は、 **リターン数を増やすより、支援する人の違いを拾う** という感覚で考えています。 ## ⑤ 高額リターンは「高い商品」をつくることではない 企業クラファンでは、 10万円。 30万円。 50万円。 といった高額リターンを用意することもあります。 ただ、 価格を高くするために商品を大量につけるだけでは弱い。 企業スポンサー。 まとめ買い。 イベント協賛。 社内利用。 企業との共同企画。 など、 **高い金額で参加する理由がある人** を先に考えます。 ここでも、 「50万円のリターンをつくりたい」 ではなく、 **「50万円で参加する可能性があるのは誰か」** から考える。 法人クラファンでも、 価格から人を見るのではなく、人から価格をつくります。 ## 売れた後に困らないリターンにする リターン設計で忘れやすいのが、 **支援された後の提供業務** です。 100個なら発送できる。 でも1,000個ならどうか。 限定イベントに100人来ても対応できるか。 個別相談を50件販売して、本当に実施できるか。 スポンサー企業への対応を誰がするのか。 クラファンでは、 売れたことが新しい仕事を生みます。 だから僕は、 リターンを考える時に必ず、 **「これが想定以上に売れても提供できるか?」** を確認します。 売れない心配だけではなく、 売れすぎるリスクも見る。 企業の場合は特に重要です。 ## 既存顧客と新規顧客で役割を分けてもいい 企業には、すでにお客さんがいる場合があります。 既存顧客にとって魅力的なリターンと、 初めて会社を知った人にとって魅力的なリターンは違うことがあります。 既存顧客には、 限定版。 まとめ買い。 特別体験。 新しい商品の先行利用。 新規顧客には、 分かりやすい入口商品。 お試し。 基本セット。 など。 全員に同じものを売る必要はありません。 **誰との関係を深めたいのかによって、リターンの役割を変える。** これも企業クラファンならではの考え方です。 ## 僕なら、この5つを確認する 企業クラファンのリターンを考えるなら、僕はまず、 **誰が支援するのか。** **一番選んでほしい主役リターンは何か。** **一般販売後の価格と矛盾していないか。** **高額で参加する人・企業は誰なのか。** **想定以上に売れても提供できるか。** を確認します。 商品をたくさん並べる前に、 この5つを整理します。 ## リターンは「売るもの」ではなく「参加方法」 企業クラファンでは、 商品を販売することも大切です。 でも僕は、それだけで考えません。 商品を先行購入する人。 会社を応援する人。 まとめて購入する企業。 スポンサーとして参加する会社。 イベントに来る人。 それぞれ違う形でプロジェクトへ参加できます。 だからリターン設計とは、 **「何を売るか」ではなく、「どう参加してもらうか」を考えること。** そして企業の場合は、 その参加をクラファンだけで終わらせず、 一般販売。 来店。 次の商品。 企業との取引。 へつなげていく。 **クラファン後まで続く関係をつくるリターン設計。** そこまで考えたいと思っています。 ### 次に読む記事 [法人クラファン実践④|企業クラファンの目標金額はどう決める?必要額だけで決めない考え方](https://www.miraipage.net/masato/5315b91d-3ea2-4a14-b465-7e2ec824c36e) [クラファンのリターン設計方法|支援される「お返し」の考え方](https://www.miraipage.net/masato/43e5f73b-9875-4526-ae73-b9ab37ec247f) [クラファンで企業スポンサーを集める方法|「ロゴ掲載」だけにしない協賛リターンの考え方](https://www.miraipage.net/masato/7ae9f5b9-a41a-4e55-b80a-6347d80ae06a) クラウドファンディングについて相談したい方は、僕のプロフィールページからご確認ください。
