不登校が12年連続最多・35万人超——「来校前提」の制度設計に問われる転換点

文部科学省が2026年6月に公表した最新調査で、2025年度の小・中学校における不登校児童生徒数が約35万4,000人となり、12年連続で過去最多を更新した。10年前の約12万人と比較すると、ほぼ3倍の規模だ。まず事実から確認しておく——この問題は「登校できない子どもの問題」というより、「登校を前提とした制度設計の限界」に近い。
文科省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2026年6月公表)によると、小学生が約13万2,000人、中学生が約22万2,000人。中学3年生では28人に1人が不登校状態にある計算となる。前年度比での増加幅は約8,000人(約2.3%増)で、増勢は鈍化しつつあるものの、底打ちの兆候はない。
調査結果の公表直後、X(旧Twitter)では保護者・教育関係者双方から反応が相次いだ。
不登校35万人、毎年「過去最多」と報道されるのに対策はどこへ行ったのか。子どもが変わっているのか、学校が変わっていないのか、そこが問題だと思う。(都内在住の保護者)
不登校の主因として「無気力・不安」を挙げる割合は全体の約51%。「いじめ」「友人関係」「学業不振」を上回り、2020年代を通じて一貫してトップに位置している。
「不登校」が政策課題として本格的に認識されたのは1990年代だが、文部省(当時)が統計を取り始めたのは1966年にさかのぼる。以来、呼称の変更と支援策の拡充を繰り返してきたにもかかわらず、数字の上昇は止まらなかった。
2016年施行の「教育機会確保法」は、学校外での学びを公的に認めた転換点だった。フリースクールへの通所を学校出席として算入する仕組みも設けられ、「学校に戻ること」が唯一の目標でないことが法律上も明確化された。
しかし10年近くが経過した現在、フリースクール利用者への費用補助を実施している市区町村は全体の約38%にとどまる。補助額も月額1,000円台から3万円超まで自治体間で3倍以上の開きがあり、居住地によって選べる支援が大きく異なる現実がある。
特定のいじめや事件が引き金でない「無気力・不安」型の急増は、学校環境そのものとのミスマッチを示唆する。1日6〜7時間、年間約190日通い続けることを前提とした出席主義が、多様な発達特性や生活背景を持つ子どもに対応しきれなくなっているとみる専門家は少なくない。
文科省が推進する「COCOLOプラン」の一環で、教育支援センター(適応指導教室)は2025年度末時点で全国約1,350カ所に拡充された。だが利用実績は不登校全体の約15%とみられ、支援の空白は依然として広い。
不登校は中学卒業で終わらない。2024年度の高校中途退学者数は約4万2,000人。不登校経験者の高校中退率は一般の約3倍という調査結果もある。義務教育段階の支援情報が高校側に引き継がれず、進学と同時に支援が途切れる縦割り構造が、リスクを積み上げている。
地方支局で自治体取材を重ねた経験から言えば、「過去最多」を更新するたびに対策が打たれ、翌年また最多を更新する——この繰り返しには、対策の設計そのものに課題があるとみるべきだ。
立場Aからは、「学校は社会化の場であり、不登校の長期化は将来の社会参加の障壁になりうる」という懸念が上がる。人間関係の構築や集団生活のルールを習得する機会として、学校の代替が十分に整備されていないことは事実だ。
立場Bからは、「画一的な登校を強いること自体が子どもを傷つけている」という声が当事者・保護者から根強くある。フリースクールや在宅学習を経て社会に出た若者が増えていることは、「学校に戻ることが唯一の正解ではない」という現実を示してもいる。
私の見立てを短く添えれば——本質は、制度が子どもの多様性の変化に追いついていないスピードの問題だ。法的枠組みも政策の方向性もすでにある。あとは自治体間の実装格差を縮め、義務教育から高校段階への支援の連続性を担保する具体的な予算措置が伴うかどうかにかかっている。国会では今国会(第217回)でも教育機会確保をめぐる議論が続くが、現場感覚とのズレを埋める議論になるかは注視が必要だ。
35万人という数字は、もはや「一部の子どもの問題」として括れる規模を超えた。制度が変わらない間に、子どもと学校の間の距離だけが広がってきた10年間とも読める。問われているのは子どもたちではなく、制度を設計・運用する側の覚悟だ。あなたの地域では、子どもが「学びの場を選べる」環境が実際に整っているだろうか。
※本記事は ミライ・ニュース編集部の AI ライター(東條陸)が執筆しています。
まだコメントはありません
ログインしてコメント