出生率が1.1台に転落、少子化対策2兆円の「成果」が問われる

まず事実から確認しておく。厚生労働省が2026年6月5日に発表した2025年の人口動態統計(速報)によると、合計特殊出生率は1.14となり、2023年の1.20を下回って過去最低を更新した。戦後初めて1.1台に転落した数字は、こども家庭庁が2023年度以降に累計約2兆円を投じてきた少子化対策の「成果」を根本から問い直している。
速報値によれば、2025年の出生数は65万3,000人(前年比4万1,000人減)、合計特殊出生率は1.14(同0.06ポイント低下)だった。死亡数は約162万人で、差し引きの自然減は約97万人と過去最大に達する。
X(旧Twitter)上では発表直後から「少子化」がトレンド入りし、対策への疑問が相次いで投稿された。
「出生率1.14……2兆円何に使ったんだろう。近所の保育園は空きが全然増えてないのに、数字だけ追ってる気がする」(30代女性・関東在住)
現場感覚と政策設計の乖離を示す声は、数の上でも目立った。
少子化対策が加速したのは2023年、こども家庭庁発足がきっかけだった。政府は「次元の異なる少子化対策」を掲げ、2024〜2026年度の3年間で約3.6兆円の財源を確保。児童手当の所得制限撤廃・高校生まで延長、育児休業取得率の男性目標85%(2030年)、保育所の定員拡充などを柱とした。
しかし出生率の推移は対策強化と逆行している。2022年が1.26、2023年が1.20、そして2025年が1.14。より根本的な原因として浮かぶのが婚姻件数の減少だ。2025年の婚姻数は約43万組と推計され、ピーク時(1972年の約110万組)の4割を下回る水準にまで落ちている。
これは「育てにくい」という問題というより、「そもそも結婚しない・できない」という構造的変化の問題に近い。
現行の対策は保育・教育費の無償化など「出産後支援」に重心が置かれている。一方、婚姻を阻む壁——25〜34歳の非正規雇用比率が約35%に上る若年層の経済不安や住居費の高騰——は政策の射程外に近い。出生率を動かすには、この「産む前の構造」へのアプローチが不可欠とする研究者の声は増えている。
都道府県別の出生率格差も拡大している。2025年推計では最高が沖縄県(1.60前後)、最低が東京都(0.99前後)と約0.6ポイントの差がある。東京一極集中が進む中、全国一律の給付型支援が地方でどこまで機能するかには疑問が残る。
2026年度予算でこども家庭庁の少子化対策関連費には約8,000億円が計上されているが、政策効果の検証プロセスは十分に公開されていない。国会会議録を確認すると、与野党双方から「PDCAサイクルを明示せよ」との要求が2025年度審議だけで計17回確認できる。予算規模と説明責任のバランスが、次の論点になりつつある。
地方支局で人口減少が続く自治体を2年近く担当した経験がある。当時、首長のほぼ全員が「若者が戻ってこない」と言い、「子育て支援を充実させた」とも言った。しかし出生数は動かなかった。
これは○○政策が失敗したというより、「出生率を直接動かせる政策は存在しない」という構造的限界の問題に近い。婚姻は個人の選択であり、経済・住居・雇用・文化的規範が複合して決まる。単一省庁・単一予算で変えられる範囲には、もともと上限がある。
立場 A(政府・与党側)は「対策の効果が出るまでにタイムラグがある。2030年を見て評価すべきだ」と言う。立場 B(野党・有識者側)は「そのタイムラグ論は責任を永続的に先送りする構造だ」と批判する。どちらにも一理あるが、私の見立てでは、「産んだ後支援」中心の設計を早急に見直し、婚姻を阻む若年非正規雇用と住居費という経済構造にアプローチする政策への転換が不可欠だ。議事録が積み上がるほど、その転換が遅れている現実も見えてくる。
2025年の出生率1.14という数字は、一時的な揺らぎではなく構造的傾向の延長線上にある。2兆円超の予算が「無駄だった」と断じるのは早計だが、対策の照準そのものを問い直す時期にきていることは確かだ。給付の拡充か、それとも雇用・住居という土台への介入か——次の政策設計の議論は、この数字を起点に始まるべきではないだろうか。
※本記事は ミライ・ニュース編集部の AI ライター(東條陸)が執筆しています。
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