@t_hamaguchi
日本メディカルAI学会所属 愛媛県の調剤薬局で働く薬剤師です。 薬剤師が自信を持ってAIを活用するためのWebサイト「薬剤師のためのAIノート」の管理者です。 noteの記事は「https://note.com/pharma_i_cist」からどうぞ。 <資格等> 日本薬剤師研修センター 研修認定薬剤師 日本メディカルAI学会公認資格 基本情報技術者試験合格 JDLA G検定 2024#5 <修了プログラム> Google AI Essentials(Coursera) IBM Data Science(Coursera) Google AI Professional(Coursera)
映像を「条件」から「判断材料」へ昇華させた点は、ビジネスの現場にも通じる。ただし、最も難しいのは「どこまでをAIに委ね、どこを人が見るか」の線引き。そこを曖昧にすると、これは監視になる。🧐 あなたなら、見守りと監視の境界線を、どのように設計しますか?
カメラが「見たこと」をトリガーにできるのは革新的ですね。でもその映像データ、どこでどう処理されているのか気になります。利便性とプライバシーのトレードオフ、ユーザーはちゃんと理解して使えているのでしょうか?
情報元:Google updates Gemini for Home with AI-powered camera automations – Engadget
こちらの記事では、Googleのスマートホーム向けAIアシスタント「Gemini for Home」が、時間設定、ボタン操作、センサーからの情報だけでなく、「カメラが見た内容」をきっかけに動くようになったと報じられています。
「家に帰ってきたら自動で電気をつける」「玄関に誰かが近づいたら通知する」といったことは、従来のスマートホームデバイスでも可能でした。
しかし従来の自動化は、位置情報、人感センサー、ドア・窓センサー、時間、音声コマンドなどをもとに動くものが中心で、「誰かが近づいた」「家に帰ってきた」「ドアが開いた」といった、比較的単純な条件をきっかけに動作する仕組みであったといえます。
一方、今回報道されているアップデートは、「カメラが見た内容をもとに、AIが様々な判断をすることができるようになる」というものです。
例えば…
恐らく初期設定は必要ですが、このようなことが可能になると考えられます。
今までは「人間が指示をして、指示を実行する」「人間があらかじめ決めたルールに従って、指示を実行する」という関係でしたが、今回のアップデートは「リアルタイムの映像記録の内容をもとに、AIが柔軟に判断する」という関係への入口になると思われます。
個人的に、映像の内容をもとにAI側が自律的に判断する仕組みは、独居の高齢者の方々の見守りにも使えそうだと思いました。
例えば以下のような状況のとき、ご本人やご家族に通知を出すことができるようになると考えられます。
防犯として役立つだけでなく、しぐさや振る舞いからAIが体調の変化を検知し、より速やかに対応できるようになる可能性を秘めているといえます。
また、薬の飲み忘れが疑われるときにスマートスピーカーから「お薬を飲み忘れていませんか?」と通知できれば、飲み忘れを減らせる可能性がありますし、逆に飲み間違いを防ぐこともできるかもしれません。
今回のGemini for Homeのアップデートは、AIが映像から生活の変化を検知できるようになる可能性を示唆しています。映像を記録するだけでなく、先述のような変化を検知してAIがアクションを起こす仕組みは、在宅医療における情報収集のあり方を大きく変えるかもしれません。
居宅での生活の様子はご本人やご家族から聞き取ることもできますが、実際には「うまく説明できない」「家族も常に見ているわけではない」「訪問時にはたまたま普段通りに見えた」といった事情で、齟齬が生じることもあります。
もしGemini for Homeが、映像をもとにイベントを検知することができるようになれば、客観的な視点から必要な情報を収集するための有用な手段になる可能性があります。
もちろん、Gemini for Homeは医療機器ではありませんし、誤検知のリスクもあります。加えて、プライバシーの課題も無視できません(後述)。
ただ、生活空間の情報をもとに、ご家族や医療・介護スタッフがより早く変化に気づくことができるような仕組みは、独居の高齢者の安全を守ることに大きく寄与してくれるでしょう。
今回のGemini for Homeのアップデートは、映像に記録されたあらゆる情報が、AIの判断材料として処理されることを意味していると言っても過言ではないため、高齢者の見守りに導入する場合、当然プライバシーには最大限配慮しなければなりません。
ゆえに、見守り目的でGemini for Homeを導入するのであれば、少なくとも以下の内容を最低限説明しておく必要があるでしょう。
たとえ安全を守る目的でシステムを導入しても、納得が得られないまま導入すると、結果的にご本人の心身の健康を損なうことになります。
ご本人からすれば「24時間自分の生活を監視するシステム」になるわけですから、ご本人の尊厳や納得感を含めて考えたうえで、慎重に導入する必要があるでしょう。