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この記事でわかること:
株式会社Merが2026年6月に発表した「Japan AI Operations Report 2026 Summer」で、驚きの実態が明らかになりました。生成AIを活用する日本企業の67.1%が、いまだにAIを「人が手動で起動」しているというのです。
調査は従業員100名以上の企業548社を対象に実施されました。その結果、AIの起動方法は以下のように分かれています。
つまり、67.1%の企業では、誰かが毎回AIに「お願い」して動かしている状態なのです。これは本来「人の仕事を助けるAI」が、逆に「人に世話をされている」ことを意味します。
興味深いのは、日本企業の生成AI活用率が2026年春時点で87%に達しているという事実です。つまり、ほとんどの企業がAIを「導入した」のに、「自動で動かす」段階には進んでいないのです。
その最大の原因が、社内データの未整備です。調査では50.7%の企業が「顧客情報やプロジェクト情報などの社内データが整理されていない」と回答しています。
データが整っていないと、AIは自動で判断できません。たとえば「新規案件が登録されたら自動で提案書を作る」というフローを組もうとしても、案件データがバラバラに保存されていたら、AIはどこを見ればいいか分からないのです。
さらに深刻なのが、AI利用の追跡です。横断的にAI利用を追跡できる企業はわずか13.0%。つまり「誰が、いつ、どのAIを使って、何をしたか」を把握できていない企業が9割近くあるということです。
問題は起動だけではありません。AIが出力した結果をどう扱うかでも、手作業が大半を占めています。
合計67.4%が、AIの出力を「コピペ」や「手直し」しているのです。これでは、AIで時間を短縮したつもりが、結局は人の手間が増えているだけという状態になりかねません。
Mer代表取締役の澤口友彰氏は「広がったのはAIの『用途』であって、AIが動く『仕組み』ではない」と指摘しています。つまり、ChatGPTで文章を書く、画像生成AIでデザインを作るという「使い方」は広がったものの、業務フローに組み込む基盤が整っていないということです。
一方、世界では「AIエージェント(自律的に動くAI)」への移行が加速しています。2026年までに企業向けアプリの80%にAIエージェントが組み込まれると予測されており、市場成長率は年間46%以上に達すると見られています。
AIエージェントとは、人が指示しなくても自分で判断して動くAIのことです。たとえば、顧客からメールが来たら自動で内容を分析し、過去のやり取りを参照して返信案を作り、担当者に確認を求める、といった一連の流れを自動で行います。
グローバル企業では、販売、サポート、サプライチェーン、経理など複数部門にまたがる複雑な業務フローをAIエージェントが調整する「マルチエージェントシステム」の導入が始まっています。
日本企業の67.1%が手動起動している間に、世界は「人がほとんど介入しないAI運営」へと進んでいるのです。
現状は厳しいものの、希望もあります。調査では67.2%の企業が「今後AI投資を拡大する」と回答しています。
具体的な投資先として最も多いのが以下の3つです。
注目すべきは、「研修」と「ガイドライン」が上位を占めている点です。これは、多くの企業が「AI自体の性能」ではなく、「使う側の準備不足」を課題と認識していることを示しています。
実際、経営者自身がAIを使っている企業は、導入速度が2〜3倍速いというデータもあります。つまり、現場任せではなく経営層がコミットすることが、AI活用の成否を分けるのです。
では、どうすれば日本企業は「手動起動」から脱却できるのでしょうか。
Merの報告書は「自律運営モデル」への転換を提案しています。これは、社員が「AIを使う」のではなく、「AIが勝手に動く仕組み」を作るという考え方です。
具体的には、以下のような段階を踏みます。
このモデルでは、社員はAIに指示を出す必要がありません。業務の流れの中で自然にAIが動き、人は「AIからの提案を承認する」「通常と違う案件を判断する」といった、人にしかできない仕事に集中できます。
ただし、これを実現するには前提条件があります。それが、社内データの整備とシステム連携です。50.7%の企業が抱える「データ未整備」問題を解決しない限り、自律運営は不可能なのです。
では、これからAI自動化を進めたい企業は何から始めればいいのでしょうか。報告書と専門家の提言をもとに、3つのステップにまとめます。
ステップ1:1つの業務を完全自動化する
多くの企業が失敗するのは、一度に全部を変えようとするからです。まずは「入力が明確で、出力も明確で、人の確認ポイントも決まっている」業務を1つ選び、そこだけを徹底的に自動化します。
たとえば「問い合わせメールの一次対応」や「日報から週報を自動生成」など、シンプルなものから始めるのが成功のコツです。
ステップ2:データを1か所に集める
AIが自動で動くには、データが整理されている必要があります。まずは自動化したい業務で使うデータを洗い出し、1つのデータベースやシステムに集約します。
ExcelやGoogle スプレッドシートがあちこちに散らばっている状態では、AIは何も判断できません。データの「住所」を決めることが重要です。
ステップ3:ログと承認フローを設計する
AIが自動で動くようになると、「誰が何をしたか」が見えにくくなります。そこで必要なのが、AI利用ログの記録と、重要な判断に対する承認フローです。
調査では、ログ・承認フロー設計に投資している企業はわずか11.3%でした。しかし、これがないとAIの暴走やトラブル時の原因究明ができません。自動化と同時に必ず整備すべき項目です。
今回の調査で浮き彫りになったのは、日本企業の多くがAIを「道具」として使っているものの、「仕組み」として組み込めていない実態です。
AIを導入することと、AIで成果を出すことの間には、大きな隔たりがあります。しかし、67.2%の企業が投資拡大を予定しているように、多くの企業がこの課題に気づき始めています。
これからの企業に求められるのは、「AIをどう使うか」ではなく「AIがどう動く仕組みを作るか」という視点です。人がAIの世話をするのではなく、AIが人の仕事を支える。そんな未来に向けて、今こそ基盤を整える時期に来ています。
この記事は AI Friends からのクロスポストです。