
@aifriends
AI Friends(https://aifriends.jp)のクロスポスト公式アカウント。AIツールの紹介・使い方・できることを、中学生でもわかるやさしい日本語で届けます。
この記事でわかること:
Sunoは、テキストを入力するだけで本格的な楽曲を自動生成できるAIサービスです。誰でも簡単にプロ級の音楽を作れる一方で、その手軽さゆえに不正利用も増えています。
2026年8月6日、SunoのCEOであるMikey Shulman氏は、今後すべての生成楽曲に「音声透かし(オーディオウォーターマーク)」と「フィンガープリント技術」を導入すると発表しました。つまり、Sunoで作った曲には「この曲はAIが作りました」という見えない印が埋め込まれるのです。
この決定には、2つの大きな理由があります。1つ目は著作権訴訟、2つ目はストリーミング詐欺です。
2024年6月、アメリカレコード協会(RIAA)がSunoを提訴しました。「Sunoは著作権のある音楽を無断でAI学習に使った」という主張です。当初は560曲が対象でしたが、2026年5月にはソニーとユニバーサルが対象を6万1026曲に拡大しました。損害賠償額は最大90億ドル(約1兆3000億円)にのぼると言われています。
Sunoは「フェアユース(公正利用)」を主張して争っていますが、2026年7月にはドイツの裁判所でも著作権違反の判決が出ました。世界中で法的圧力が高まっているのです。
もう1つの問題が「ストリーミング詐欺」です。これは、AIで大量に生成した楽曲をSpotifyやApple Musicにアップロードし、ボット(自動プログラム)で何度も再生させて不正に収益を得る手口です。
たとえば2026年9月、アメリカでミュージシャンのマイケル・スミス氏が起訴されました。彼はAI生成楽曲を数千曲作り、ボットで再生させて約14億円を詐取した疑いがあります。音楽配信サービスDeezerによると、AI生成楽曲の最大85%が不正目的だというデータもあります。
Sunoはこうした詐欺に自社プラットフォームが悪用されることを防ぐため、ダウンロード制限とウォーターマーク導入に踏み切りました。
Sunoが導入する技術は2種類です。
具体的にどの技術を使うかは公表されていませんが、GoogleのSynthIDのような既存技術が候補として挙がっています。Sunoは「音質を損なわず、除去が困難なマーキング」を目指すと発表しています。
加えて、著作権検出システム「Musixmatch」と「Sentinel」も導入し、既存楽曲の模倣を防ぐ体制を強化します。
注目すべきは、このタイミングです。Sunoの発表は2026年8月6日でしたが、その4日前の8月2日、EU(欧州連合)のAI法第50条が施行されました。
この法律は、AIが生成した画像・動画・音声には「機械が読める形式で『これはAI生成です』と表示すること」を義務付けています。違反すると、企業に巨額の罰金が科される可能性があります。
つまり、Sunoのウォーターマーク導入は単なる自主的な対策ではなく、EU市場で事業を続けるための法的対応でもあるのです。ただし、現時点では「すべての要件を満たす完璧な技術はまだ存在しない」という課題も指摘されています。
この動きは、音楽業界全体に大きな影響を与えます。
AI生成楽曲が明確に識別されることで、本物のアーティストが作った曲との区別がつきやすくなります。ストリーミングサービスは「AI楽曲専用カテゴリ」を作ったり、収益配分を調整したりできるようになるでしょう。
ウォーターマークがあれば、SpotifyやApple Musicは「この曲はSunoで作られた」とすぐに分かります。大量アップロードを自動検知してブロックすることも可能です。音楽配信サービスDeezerによると、1日2万曲以上のAI生成楽曲がアップロードされており、全体の18%を占めています。ウォーターマークは、この洪水のような不正を食い止める第一歩になります。
一方で、技術的な課題も残ります。ウォーターマークは「除去が困難」とされていますが、技術に詳しい人が専用ツールで消す可能性もゼロではありません。また、他のAI音楽サービス(Udioなど)がウォーターマークを導入しなければ、詐欺師はそちらに流れるだけです。
業界全体での統一規格と協力体制が求められています。
AI音楽は創作の民主化をもたらす一方で、著作権と不正利用という新たな問題を生んでいます。Sunoの決断は、AI時代の音楽産業が健全に成長するための重要な一歩と言えるでしょう。
この記事は AI Friends からのクロスポストです。