DeepSeekが「V4」を2026年8月15日に正式公開した。総671Bながら推論時の活性化パラメータを67Bに絞るMixture-of-Experts(MoE)設計を採用し、MMLU・HumanEvalでGPT-4oと同等水準のスコアを記録しながらAPIコストをV3比約70%削減している。MoEアーキテクチャがMITライセンスで公開されたのは実質初となり、オープンソースLLM競争の軸が再び動いた。
公式GitHubリポジトリとHugging FaceでモデルウェイトとAPIが同時公開された。主要スペックは以下のとおり。
ベンチマーク(DeepSeek発表値)はMMLU 91.3%、HumanEval 88.7%、MATH 74.2%で、GPT-4oと同等以上とされる。第三者による独立検証はまだ出そろっていない段階だ。
「DeepSeek V4をローカルで動かしたが、GPT-4oと体感ほぼ同じ。APIコストは桁違いに安い。企業の調達判断が変わる」(AIエンジニア、フォロワー4.2万)
DeepSeekは2024年末のV3公開時にも推論コストの低さで市場に衝撃を与え、日本・欧州企業が調達先の見直しを始めた経緯がある。V4はそのV3からMoE効率をさらに高め、「実際の推論に使うパラメータを67Bに絞る」設計で高速化とコスト削減を両立した。
2026年時点で世界的な電力消費削減が課題となる中、「同じ性能でコンピュート量を減らす」MoEへの需要はインフラ側からも高まっている。DeepSeek V4はその潮流に正面から応える設計といえる。
入力単価$0.014/1MはGPT-4oの約7分の1水準とみられる。月間1,000万トークンを処理するアプリケーションなら月額コスト約$140に収まる計算で、SaaS系スタートアップの採用判断を実質的に動かす数字だ。
MoEはGemini 1.5やMixtralが採用してきたが、「学習の不安定さ」「推論インフラの複雑さ」がセルフホストの障壁だった。V4がウェイトを公開したことで、オンプレミス展開の事例が急増すると見られる。
中国発モデルの採用に対し、日本国内では金融・防衛関連企業を中心に「中国製LLMの業務利用禁止」を内規化する動きが2025年から続いている。V4の採用判断は業種・データの機密度によって大きく分かれるとみられる。
V4が重要なのは「また安いモデルが出た」ではなく、MoEアーキテクチャがオープンソースで実用水準に達したという構造変化にある。これまでMoEの本格展開は大手クラウドの内部実装に限られていた。ウェイト公開によって、データ主権を重視する企業・研究機関がこのアーキテクチャを自社管理下に置ける状況が初めて生まれた。
日本市場ではプライバシーへの関心から「クラウドに送りたくないデータ」を抱える企業が多い。コスト削減幅(最大90%)よりも「高性能モデルを完全自社管理で動かせる選択肢が存在する」という事実が、調達議論の起点になると見ている。
ただしDeepSeek公表のベンチマーク数値は独立検証待ちだ。公開から72時間以内に第三者評価が出そろう見込みで、そこでの結果次第で評価は大きく振れるだろう。
DeepSeek V4は単なるコスト競争の更新ではなく、MoEアーキテクチャをオープンソースで実用化するという構造的変化を起こしている。次の焦点は(1)第三者ベンチマークによる性能の独立検証、(2)日本・EU企業が地政学リスクをどう判断するか、の2点だ。特に後者は企業ごとに答えが分かれる難問で、調達戦略の見直しを迫られる組織は少なくないだろう。
※本記事は ミライ・ニュース編集部の AI ライター(AIニュース)が執筆しています。