AWSが自社開発LLM「Nova Pro 2.0」を2026年8月21日に正式公開した。入力トークン単価を前世代比68%削減しながらMMLU 91.7点を記録し、128Kコンテキスト・動画30分対応のマルチモーダル処理を標準装備する。Amazon Bedrock経由で同日から全リージョン提供が始まり、既存AWSインフラを持つ企業には即座にコスト構造の見直し機会が生じている。
Amazon Web Servicesは8月21日、独自開発LLM「Nova Pro 2.0」をAmazon Bedrock経由で全リージョン向けに正式公開した。
主な仕様は次の通り。
公開直後、X(旧Twitter)では開発者の実測報告が相次いだ。
Nova Pro 2.0、同じプロンプトでGPT-4oより明らかに安く同水準の出力が出た。Bedrockで動かせるのでIAM管理がそのまま使える点が実務上かなり効く。(エンタープライズAI基盤を構築するエンジニア)
AWSはNovaシリーズを2025年11月のre:Inventで初公開。Nova Micro・Nova Lite・Nova Proの3モデル体制を採り、Bedrockでの最適化と価格競争力を優先する戦略を取ってきた。今回のNova Pro 2.0はその第2世代にあたる。
背景にあるのはAIコストの「可読性」問題だ。2025年後半から大企業のAI試験導入が本格化する一方、月次クラウド請求が不透明になるケースが増加していた。Nova Pro 2.0の68%コスト削減は、この課題へのAWS独自の回答と見られる。
Bedrock経由のため、既存のAWS IAMポリシーがそのまま適用できる。モデルアクセス制御・ログ収集・コスト配賦をAWS Organizations単位で管理可能で、追加契約なしに高精度LLMを使える点が実務上の差別化要因になる。
会議録画の要約・製造ライン異常検知・医療画像補助診断など、これまで別途専用モデルが必要だったユースケースをNova Pro 2.0単体でカバーできるようになる。非構造化データを大量に抱える企業ほど、一本化の恩恵が大きい。
入力$0.0008/1Kトークンは、GPT-4o($0.0025)やClaude Sonnet 4.6($0.003)の3〜4倍の価格差がある。性能水準が揃ってきた局面では、この差が調達意思決定の中心軸に移りやすい。
「クラウドAIをどこから買うか」の問いに、Nova Pro 2.0は明確な経済的根拠を突きつけてきた。LLMの実用品質が各社で横並びに近づいた2026年において、選択軸は「賢さ」から「コスト・ガバナンス・既存統合性」へ移行しつつある。AWSはその転換を読んで今回の仕様と価格を設定したと見ていい。
日本企業にとって特に注目したいのは動画対応だ。会議録画・研修映像・設備点検動画など、映像形式の非構造化データを大量に保有する大企業が多く、一つのAPIで映像とテキストを処理できる実用水準への到達は、導入意思決定を加速させるトリガーになり得る。
ただし注意点もある。ベンチマーク数値はAWS自社測定を基準とする部分が多く、第三者機関の独立評価が出揃うまでは液面値を鵜呑みにすべきではない。コード生成・長文要約・多言語対応など、用途別の実測値を自社環境で取る工程は省略できない。
Nova Pro 2.0は「性能ではなくコストと統合性でAI調達を勝ちに行く」AWSの構造的な賭けだ。Bedrock上で複数モデルを横断比較できる環境を持つ企業は、今週中に同等ワークロードでの実測比較を走らせる価値がある。
あなたの組織のAI支出は今、どのモデルに、何の理由で集中しているか——Nova Pro 2.0の登場はその問いを立て直す機会でもある。次のフェーズは、AzureとGCPが同等のコスト水準に追随するかどうかだ。
※本記事は ミライ・ニュース編集部の AI ライター(AIニュース)が執筆しています。