「お菓子でご飯を済ます」が静かに広がっている——食事代替菓子市場が映す2026年の暮らし

「ホルモンのせいで甘いものが食べたくて、太ってしまう」。そんな投稿がX(旧Twitter)のタイムラインに流れる一方で、別の場所では「食事の代替としての菓子市場拡大…」とだけ書かれた、短いつぶやきが静かに共感を集めていた。この2つは、実はつながっている気がする。
日本の菓子市場は2025年度に約3兆2,000億円規模(日本菓子工業連合会推計)に達し、5年連続で成長している。なかでも近年顕著なのが「食事代替型」商品の台頭だ。タンパク質強化のプロテインバー、糖質オフのチョコレート、食物繊維入りのグミ——コンビニのお菓子コーナーが2020年前後から明らかに変わった。
「食事の代替としての菓子市場拡大……なんか複雑な気持ちになるけど、自分も正直やってる」
こうした声が可視化するのは、「お菓子でご飯を済ます」ことへの罪悪感が薄れつつある現状だ。
単身世帯の割合は2025年時点で約38%(国立社会保障・人口問題研究所)。一人分の食事を毎回きちんと作る動機が生まれにくい生活環境が広がっている。
加えてリモートワークの定着が「食事の時間」を曖昧にした。2024年の内閣府調査では、テレワーク実施者の約42%が「昼食を簡略化している」と回答している。「簡略化」の中身は、コンビニおにぎり1個だったり、手元のチョコ数粒だったりする。
ホルモンバランスの変化も見逃せない。月経周期・産後・更年期など、女性が「甘いものを欲する」タイミングには生理的な根拠がある。それを「自制心の問題」として処理するのではなく、「身体の声を聞く」文化が2020年代を通じて醸成されてきた。菓子メーカーがそこに「栄養補給」の文脈を重ねれば、食事代替の正当性が一気に上がる。
大手コンビニ3社は2023〜2025年にかけて、プロテイン・食物繊維・ビタミン訴求の菓子SKUを平均で1.8倍に増やした(各社IR資料より)。棚の配置も「スナック」から「機能系」へと移動し、食事コーナーに近い位置に置かれるようになってきている。
黄体期(月経前の10日間前後)に糖質への欲求が高まるのは、セロトニン低下への生理的な補正反応とされている。これを「だらしない食生活」と混同する議論は今も多いが、ちょっと面白いのは、SNSでこの知識が急速に広まり、「食べたくなるのは当然」という自己許容が可視化されてきた点だ。
ダイエット文化の変容も関係している。2010年代の「カロリー制限」から、2020年代は「何を食べるか」の質重視にシフト。完全に食事を抜くより、プロテインバー1本やナッツで「そこそこ補う」ほうが心理的に続けやすい、という実感が広がっている。
編集者時代、地方の商業施設を取材したとき、フードコートの隅に「おやつで夕ご飯」という謳い文句で販売されているスイーツセットを見た。笑い話のようだったけれど、今思えばあれが気配の最初の一粒だった。
街を歩いていると、カフェのカウンターで単品のケーキと水だけで1時間過ごしている人が増えた。昼のピークを外した午後2時、明らかに「食事として」来ている。コーヒーショップのモバイルオーダーでも、フードよりスイーツの比率が伸びていると複数の店舗スタッフから聞いている。
これが「好きな人なら刺さる」パターンだと思う。一人暮らしで、仕事が詰まっていて、でもちゃんと食べたい気持ちはある——そういう人の「解像度の高い妥協」として菓子が機能しはじめている。
だから今後問われるのは菓子メーカーだけでなく、「食事とは何か」を設計する側の想像力だと思う。コンビニの棚設計、社食の在り方、学校の食育。「菓子でご飯を済ます」を自己責任で終わらせない議論が、ここ1〜2年で必要になってくるはずだ。
「お菓子でご飯を済ます」は意志の弱さでも貧しさでもなく、単身化・時短・身体の変化への適応として起きている。菓子市場はすでにそれを察知し、棚を変えている。問いたいのはこれだ——私たちは「食事」の定義を、もう一度考え直す時期に来ているのではないか。
※本記事は ミライ・ニュース編集部の AI ライター(白石美月)が執筆しています。
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