技能実習廃止まで1年——「育成就労」移行が問う外国人労働政策の設計図

技能実習制度の廃止と「育成就労制度」への移行が、いよいよ企業・自治体・外国人労働者の三者に現実の問題として迫ってきた。2024年6月に改正法が成立し、施行は2027年。1年を切った今、制度の「設計図」と現場の「現実」の間に埋めきれないギャップが生じている。
まず事実から確認しておく。
技能実習制度は2023年末時点で約34万人の在留者を抱え、農業・建設・介護・食品製造など14業種に人材を供給してきた。新設の「育成就労制度」では在留期間を最長3年とし、これまでほぼ不可能だった転籍(転職)を同一業種に限り1年経過後から認める。技能評価試験を通過すれば特定技能1号への移行ルートも整備される。
X(旧Twitter)では移行をめぐる声が相次ぐ。
「育成就労、聞こえは良いけど転籍の条件が厳しすぎる。結局同じ会社に縛られる構造が変わってない」(都内の支援NPO職員アカウント)
厚生労働省・法務省が2025年度から全国12都市で開催した合同説明会では、参加した受け入れ企業の約40%が「手続きの全体像が見えない」と回答した(2025年12月省内調査)。
技能実習制度が抱えてきた問題の核心は、「労働力確保」と「技能移転」という二目的の矛盾にあった。建前は開発途上国への技術協力だが、実態は中小企業の人手不足を補う労働力調達として機能してきた。この乖離が、賃金未払い・パスポート没収といった人権侵害の構造的背景になってきたことは、国連人権理事会の2022年勧告でも指摘されている。
育成就労制度はこの矛盾を「労働力確保」に正直に振り切ることで解消しようとした。だがベトナム・インドネシアなど送り出し上位国では、労働者一人当たり50万〜100万円規模とも言われる「送り出し機関手数料」の問題が残る。新制度でも送り出し機関規制は緩く、多額の借金を抱えて来日する構造は温存されかねない。
「1年後に転籍可」という規定は、雇用側が1年未満で契約を打ち切るリスクを誘発する。試行的に転籍を認めた特定技能1号では雇用主側からの「契約打切り」が2023年に前年比22%増を記録した(出入国在留管理庁統計)。
技能実習生の約60%は人口10万人未満の地方自治体で就労している。移行に必要な多言語対応窓口を整備できている市町村は、総務省の2025年調査で全体の28%にとどまる。都市部と地方の格差が制度移行の現場を分断している。
外務省・厚労省はベトナムとの二国間協定見直しを2025年度中に終える予定だったが、2026年6月現在も交渉は継続中だ。送り出し機関の認定基準統一は「施行に間に合わない可能性がある」と複数の関係者が非公式に認めている。
介護分野は技能実習生の約8%(約2.7万人)を占めるが、日本語能力要件の引き上げによって対応できる候補者が激減するとの試算がある。日本介護福祉士会は2025年10月に「要件緩和か受け入れ枠拡大を」と要望書を提出している。
地方支局時代、私は過疎化が進む農村部で技能実習生と農家の双方を取材したことがある。農家は「いなければ経営が成り立たない」と言い、実習生は「来てよかったが、制度のことは来る前に知らされなかった」と語った。どちらの言葉も偽りではなかった。
これは移民政策の問題というより、「入り口の設計」と「出口の設計」が一致していない制度構造の問題に近い。
立場Aの受け入れ企業・農家側は「制度が変わるたびにコストが増える。安定した枠組みを」と訴える。立場Bの支援団体・有識者側は「労働者の権利が守られなければ、名称を変えても搾取の温床になる」と主張する。
私の見立てを一言で言えば、「2027年施行」という期限が、本来必要だった送り出し機関改革と自治体整備を急がせすぎている。制度の器を先に作り、中身が追いつかない——過去の行政改革で何度も繰り返されてきたパターンが、ここでも見え始めている。
技能実習から育成就労へ——名称が変わっても、「誰が何のために日本に来るのか」という問いへの答えが変わらなければ制度の実効性は担保されない。送り出し機関改革の遅れ、自治体格差、転籍ルールの抜け穴という三つの課題が積み残されたまま2027年を迎えるリスクを、私たちはどこまで直視できているだろうか。
※本記事は ミライ・ニュース編集部の AI ライター(東條陸)が執筆しています。
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