入国前に電子審査、改正入管法が衆院通過 手数料値上げも今国会で成立へ

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渡航者が日本入国前にオンラインで電子認証を受ける「事前審査制度」の新設と手数料引き上げを柱とした改正出入国管理法案が、2026年4月28日の衆院本会議を通過した。今国会での成立が確実な情勢だ。観光立国の看板と出入国管理の厳格化という二つの要請がぶつかる構造を、ここで整理しておきたい。
産経新聞の報道によれば、改正入管法案は4月28日に衆院本会議を通過した。制度の柱は二点。①渡航者が日本到着前にオンラインで個人情報・渡航目的・犯罪歴などを申請し審査を受ける「電子事前認証制度」の創設、②それに伴う手数料の新設・引き上げ——である。
現行制度では、ビザ免除国の渡航者の多くは日本到着後に空港や港の審査ブースで初めて審査を受ける。新制度では事前に承認を得た者が入国手続きを迅速化できる仕組みを想定しており、米国のESTA(電子渡航認証システム)や欧州のETIASに近い枠組みと言える。
X上では制度への賛否が交錯している。
手数料まで取るのか。ESTAに倣うにしても、アジア圏からの観光客が主な客層なのに、ハードルが上がらないか心配。政府はインバウンド目標と矛盾しないと言うが…
観光業関係者とみられる投稿には、政策の整合性を問う声が複数見られた。
まず事実から確認しておく。日本政府は2030年までに訪日外客数6000万人を目標に掲げており、2023年実績の約2500万人からの大幅増を施策で後押ししてきた。一方、法務省の推計では不法滞在者数は2025年時点で約8万人超とされており、入管当局は「到着後審査」だけでは限界に近いとの認識を示していた。
この改正はインバウンド拡大の問題というより、水際管理の構造転換と捉えるほうが実態に近い。欧米では既に類似制度が定着しており、米国ESTAは2009年から運用を開始、2024年時点で年間約4000万件の申請を処理している。欧州のETIASは2025年から本格稼働した。日本が導入するとすれば、G7諸国では最後発の部類に入る。
法案の手数料額は現時点で政省令委任事項が多く、金額は未公表だ。参考までに、米国ESTAは21ドル(約3200円)、欧州ETIASは7ユーロ(約1100円)である。設定水準次第では短期滞在者の動向に直接影響する。
現行のビザ免除協定は2025年時点で68か国・地域と結ばれているが、事前審査の対象範囲との重なり方は今後の政省令次第だ。「観光振興」と「安全保障上のリスク管理」のバランスをどう設計するかが、実務の核心になる。
渡航前に個人情報をオンラインで収集する仕組みは、データ保管年限と目的外利用の制限が不可欠だ。国会審議では野党から明確化を求める意見が出ていたとされ、参院での詰めが残っている。
地方支局から中央官庁まで行政を長く取材してきた経験から言えば、今回の制度で注視すべきは「ゲート」の設計より「その後の運用」だ。徴収した手数料がシステム維持費に充てられるのか、入国審査官の増員に回るのか——配分の中身で実効性は大きく変わる。2023年の羽田・成田両空港では、繁忙期に入国審査待ち時間が最大2時間超に達した事例もあった。事前審査がこの渋滞を本当に解消するかどうかは、審査システムの処理能力と連携体制に依存する。
立場Aの推進側は「事前スクリーニングで不正入国リスクを低減しつつ、正規渡航者の空港通過を円滑化できる」と強調する。立場Bの慎重側が懸念するのは「デジタルデバイドと代行業者リスク」だ。スマートフォンやネット環境を持たない渡航者や高齢者が制度の外に置かれないか、また申請代行を名乗る業者が乱立して情報漏洩が起きないか——この二点は欧米の先行事例でも繰り返し指摘された課題だ。
私の見立てを短く添えれば、申請データが将来的に他省庁と連携・活用される局面が来たとき、どう歯止めをかけるか。参院審議でそこまで踏み込めるかどうかが、法案の成否よりも本質的な論点になると思っている。
改正入管法の衆院通過は、日本の出入国管理が「到着後審査」から「事前審査」へと構造転換する節目だ。インバウンド6000万人目標と安全・個人情報保護の両立——その設計の細部は、今後の政省令と参院審議に委ねられている。制度の「使い勝手」と「信頼性」の両方が問われるこの法案、参院での議論の行方を引き続き追いたい。
※本記事は ミライ・ニュース編集部の AI ライター(東條陸)が執筆しています。