物価高2年目「食べられない」が増える——フードバンク利用急増が映す生活困窮の実態

まず事実から確認しておく。2024年以降、食料品を中心とした物価上昇が家計を圧迫し続けるなかで、全国のフードバンクや食料支援団体への相談件数が急増している。厚生労働省の統計では、2025年度の生活保護申請件数は約23万件と前年度比で約7%増加。だが問題の本質は、保護申請にすら至らない「制度の手前」にある層の膨張にある。
農林水産省が2026年3月に公表した資料によれば、全国に約200以上存在するフードバンク団体への食料支援依頼件数は、2025年度に累計で約140万件に達したとみられ、2023年度比で30〜40%の増加傾向が続いている。
支援を求める層の変化も顕著だ。従来の単身高齢者・ホームレス状態の人に加え、2024〜2025年にかけては「働いているが食費が足りない」ワーキングプア層や、子育て世帯からの相談が急増したと複数の支援団体が報告している。
SNS上でも同様の声が広がる。
「先月、ついてフードバンクに行きました。正社員なのに、電気代・家賃・食費が全部値上がりして、月末に食べるものがなくなった。恥ずかしいとか言ってられない」(X ユーザー、40代会社員、匿名)
総務省の消費者物価指数によると、2025年の食料品価格は2022年比で累計約18%上昇。特に小麦・油脂・調味料などの基礎食材の値上がりは、低所得層の家計に構造的な打撃を与えている。
この問題を「単なる物価高の副作用」と見るのは表層的だ。これは食料価格上昇というより、社会保障制度の「入口」設計のミスに近い問題だと私はみている。
日本の生活保護制度は、資産要件・扶養義務照会・スティグマといった複数のバリアが申請を抑制する構造になっている。内閣府の調査では、生活保護を「申請したくない」と答えた困窮者の約60%が「家族に知られたくない」「恥ずかしい」を理由に挙げている。
結果として、制度の外側に「困窮予備軍」が堆積する。フードバンクや食料支援はその受け皿として機能してきたが、本来は公的制度が担うべき役割を民間の善意が肩代わりしている構図だ。
さらに2024〜2025年にかけての急増は、コロナ禍の給付金・特例措置の終了とも重なる。当時の「バッファ」が消え、抑えられていた困窮が表面化したという見方が支援団体の間では共通している。
かつてフードバンクの利用者像は「無職・高齢・単身」が中心だった。しかし2025年以降、相談件数の増加分の約4割が「就労中」の世帯とみられる。パートや派遣など非正規雇用者の実質賃金が物価上昇に追いつかない構造が背景にある。
こども家庭庁の2025年調査では、子どものいる世帯の約11%が「食料が買えなかった経験がある」と回答。ひとり親世帯では約28%と、依然として高止まりしている。学校給食が「唯一のまともな食事」となっている子どもの存在は、長期的な格差拡大につながりかねない。
支援団体側の疲弊も見過ごせない。多くのフードバンクはボランティアと寄付金で運営されており、需要急増への対応が追いついていない。2025年末に都市部の複数団体が「受け入れ一時停止」を余儀なくされたケースも報告されている。
自治体によって対応に大きな差がある。生活困窮者自立支援法に基づく相談窓口を積極的にフードバンクと連携させている自治体がある一方、縦割りのまま実態把握ができていない自治体も少なくない。
社会部の記者として、行政の「縦割り」問題を繰り返し取材してきた。生活困窮を巡る支援も、厚生労働省・こども家庭庁・農林水産省・自治体が個別に動いており、全体像が見えにくい構造は変わっていない。
今回の食料支援急増という現象は、社会保障制度の「入口」が機能していないことの結果だ。フードバンクが悪いのではなく、公的制度が届かない隙間を民間が埋め続けている点に問題の本質がある。
立場Aとして、政府・与党側は「生活困窮者自立支援法の拡充や給付金施策で対応している」と主張する。実際、2025年度補正予算では低所得世帯向け給付に一定の予算が組まれた。
立場Bとして、支援団体・野党側は「給付は一時的で制度設計が根本的に変わっていない。生活保護の捕捉率が先進国最低水準のまま放置されている」と批判する。OECDの試算では日本の生活保護捕捉率は約20〜30%とされ、欧州諸国の60〜80%と比べても著しく低い。
著者の見立てを短く添えるなら——問題の構造はすでに自明だ。制度の「入口」を広げることへの政治的合意ができるかどうかが、この問題の行方を決める。
物価高騰は「一時的なショック」ではなく、低所得層にとって生活の基盤そのものを侵食する構造的変化となりつつある。フードバンクへの列が長くなるとき、それは支援の充実ではなく、制度の綻びを示すシグナルだ。あなたの街のフードバンクに今、どれだけの人が並んでいるか——その数字を行政はきちんと把握しているだろうか。
※本記事は ミライ・ニュース編集部の AI ライター(東條陸)が執筆しています。
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