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この記事でわかること
株式会社スリスタが2026年5月に実施した調査で、業界によってAIの使われ方に大きな差があることがわかりました。
調査は全国の会社員400名を対象に行われました。その結果、最もAIを使っている業界は「教育・人材」で76.9%でした。つまり、10人中8人近くがAIを使っている計算です。
一方、最もAI活用率が低かったのは「医療・福祉」で13.8%でした。10人中1人程度しかAIを使っていません。トップとボトムの差は5.6倍にもなります。
この数字は、同じ日本国内でも業界によってAI導入のスピードが全く違うことを示しています。
なぜ教育・人材業界でAIの利用率が高いのでしょうか。理由は大きく2つあります。
1つ目は、仕事内容とAIの相性が良いことです。教材作成、カウンセリング、提案書作成など、文章を作る仕事が多いのがこの業界の特徴です。ChatGPT(チャットGPT:会話形式で文章を生成してくれるAI)のような生成AI(文章や画像を自動で作るAI)は、まさにこうした業務を得意としています。
2つ目は、新しい技術を取り入れやすい文化があることです。教育業界は常に最新の知識やスキルを扱うため、AI技術にも抵抗が少ないと考えられます。つまり、「使ってみよう」という姿勢が業界全体にあるのです。
2位の「IT・ソフトウェア・通信」も71.4%と高い数字でした。この業界では毎日AIを使う人の割合が34.3%で、最も高頻度で活用されています。技術者が多く、AIツールへのアクセスも容易なため、自然と利用率が高くなっています。
医療・福祉業界のAI活用率が13.8%と低い理由は、慎重にならざるを得ない事情があるからです。
まず、患者情報という極めて機密性の高いデータを扱っています。個人情報保護法(個人のプライバシーを守る法律)や医療規制が厳格で、簡単にAIツールを使うことができません。ChatGPTなどのクラウド型AI(インターネット経由で使うAI)に患者データを入力すれば、情報漏洩(ろうえい:情報が外部に漏れること)のリスクがあります。
また、診療責任の問題もあります。AIが誤った診断をした場合、誰が責任を取るのか。この点が明確になっていないため、医療現場では慎重にならざるを得ないのです。
ただし、これは一般的な生成AIの話です。医療業界では画像診断AI(レントゲンやCT画像を分析するAI)や問診支援AI(患者の症状から病気を推測するAI)など、専用のシステムが別途導入されています。つまり、医療分野特有のAIは進んでいるものの、ChatGPTのような汎用AI(はんようAI:様々な用途に使えるAI)の利用率は低いというのが実態です。
興味深いことに、医療・福祉業界のAI事故経験率は3.4%で最も低く、ガイドライン整備率は0.0%でした。これは、「使わないから事故も起きないが、ルールも作られていない」という状況を示しています。
業界格差の背景には、日本全体が抱える課題があります。
1つ目は人材不足です。AIを開発・運用できるデータサイエンティスト(データを分析してビジネスに活かす専門家)やエンジニアが圧倒的に足りていません。大学などの教育機関でのAI教育も遅れており、さらに優秀な人材は待遇の良い海外企業に流出してしまう問題もあります。
2つ目は経営層の理解不足です。日本企業の経営者の多くが、AIの価値やビジネスへの影響を十分に理解していません。アメリカや中国の企業は「まず試してみる」という姿勢で積極的に投資していますが、日本は様子見の姿勢が目立ちます。
3つ目はデータ活用への保守的な姿勢です。日本では個人情報の管理が非常に厳格で、企業が顧客データを自由に活用しにくい環境があります。また、企業や官公庁ごとにデータの形式がバラバラで、横断的(おうだんてき:複数の組織をまたいで)なデータ活用が困難です。
大企業はAI推進の専任チームを作り、失敗を許容した実験予算を組むことができます。一方、中小企業では代表や既存社員が兼務するケースが多く、数十万円のサブスクリプション費用(月額課金)でも「効果が見えない」と導入が止まってしまいます。この組織体制と投資姿勢の違いも、格差を生む要因になっています。
今回の調査で明らかになった全10業界のAI活用率を紹介します。
あなたの業界はどの位置にあったでしょうか。上位3業界(教育・人材、IT、広告)は60%を超えており、すでに多くの人がAIを日常的に使っています。
一方、金融・保険(25.0%)や公共・行政(23.8%)は意外と低い結果でした。これらの業界も医療と同様、個人情報や重要データを扱うため、慎重な姿勢が数字に表れています。
製造業(41.4%)は中位ですが、工場の自動化や品質管理など、AIの応用範囲は広いと言われています。今後、活用率が上がる可能性が高い業界の一つです。
今回の調査で明らかになったポイントをまとめます。
この格差を埋めるには、業界ごとの特性に合わせたAI導入の方法を考える必要があります。医療や金融のように規制が厳しい業界では、専用のセキュアなAIシステムの開発が求められます。一方、中小企業では経営層がAIの価値を理解し、小さく始めて成功体験を積むことが重要です。
AIは万能ではありませんが、適切に使えば業務効率を大きく改善できるツールです。あなたの業界でどのようにAIを活用できるか、この調査結果を参考に考えてみてはいかがでしょうか。
この記事は AI Friends からのクロスポストです。