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この記事でわかること:
Googleの親会社アルファベット傘下のWaymo(ウェイモ)は、ロボタクシー(無人タクシー)専用のAIチップを自社開発し、最新車両に搭載したと発表しました。このチップは台湾の半導体大手TSMC(台湾積体電路製造)の5ナノメートル(nm)プロセスで製造され、毎秒1000兆回以上の演算処理(TOPS)が可能です。
つまり、人間の脳が瞬時に判断するような複雑な処理を、チップが超高速で実行できるということです。たとえば、カメラやセンサーが捉えた大量の情報をリアルタイムで分析し、「この人は道路を横断しようとしている」「あの車は急ブレーキをかけた」といった判断を、わずか数ミリ秒で行います。
Waymoの最新車両「Ojai(オハイ)」には、13台のカメラと4基のLiDAR(レーザー光で距離を測るセンサー)、複数のレーダーが搭載されています。これらのセンサーは1秒間に膨大な量のデータを生成します。
自社開発チップは、これらのセンサーから送られてくる生データを「前処理」する役割を担います。前処理とは、ノイズ(不要な情報)を取り除いたり、複数のセンサーの情報を統合したりする作業です。この前処理を高速で行うことで、メインのAIシステムがより正確な運転判断を下せるようになります。
さらに、このチップには「デュアルチップ・フェイルオーバー」という仕組みが組み込まれています。つまり、万が一1つのチップが故障しても、もう1つのチップが瞬時に処理を引き継ぐため、安全性が大幅に向上しました。
これまで自動運転業界では、NVIDIA(エヌビディア)やAMD(エーエムディー)といった企業の汎用AIチップが広く使われてきました。しかし、汎用チップには「自動運転に不要な機能も含まれている」という課題がありました。
Waymoは自社専用のチップを設計することで、不要な機能を削ぎ落とし、自動運転に必要な処理だけに特化しました。その結果、処理速度が向上し、将来的には製造コストの削減も期待できます。
また、NVIDIAなど外部企業への依存度を下げることで、サプライチェーン(部品調達の流れ)のリスクも軽減されます。たとえば、チップ不足で生産が滞るといった事態を避けやすくなるのです。
Waymoだけでなく、自動運転業界全体で自社チップ開発の動きが加速しています。代表的な例がテスラ(Tesla)です。テスラはAI4、AI5、AI6といった独自チップの開発を進めており、完全な垂直統合(設計から製造まで自社で管理)を目指しています。
ただし、テスラの「Dojo(ドージョー)」と呼ばれるスーパーコンピュータプロジェクトは、2025年8月に解散しました。それでもイーロン・マスク氏は、次世代チップの開発に全力を注ぐと表明しています。
ドイツのフォルクスワーゲン(VW)や、米アップル(Apple)も自社チップの開発計画を進めています。つまり、自動運転業界は「NVIDIA一強」の時代から、各社が独自技術を競う時代へと移行しつつあるのです。
Waymoのチップは、TSMCの「N5A」という自動車専用の製造プロセスで作られています。N5Aは、一般的な5nmプロセスを自動車の厳しい環境(高温・振動など)に対応させたものです。
日本の自動車メーカーも、TSMCとの連携を強化しています。たとえばトヨタは、熊本に建設されたTSMCの工場と協力し、次世代の車載半導体を開発しています。Waymoの成功事例は、日本企業にとっても「自社専用チップの可能性」を示す重要な指標となるでしょう。
Waymoは自社チップの開発にあたり、AMD、Micron(マイクロン)、NVIDIA、Samsung(サムスン)、Sandisk(サンディスク)、Socionext(ソシオネクスト)、TSMCといった7社と協力しました。
興味深いのは、「NVIDIA依存からの脱却」を掲げながらも、NVIDIAを協力企業として名を連ねている点です。これは、Waymoが完全に自社だけで開発するのではなく、業界のエコシステム(協力関係の輪)を活用する戦略を取っていることを示しています。
日本企業のソシオネクストも協力企業に含まれており、日本の半導体技術が自動運転の最先端で活用されていることが分かります。
この自社チップは、すでにWaymoの最新世代車両「Ojai」に搭載されています。Ojaiは中国の電気自動車(EV)メーカーZeekr(ジーカー)が製造しており、Waymoは同車両をロボタクシー車両として運用しています。
つまり、このチップは「実験段階」ではなく、すでに実際の公道で乗客を運ぶ商用サービスで稼働しているのです。この点は、テスラのように開発中のチップとは大きく異なります。
Waymoの自社チップ開発は、日本の自動運転業界にも影響を与えるでしょう。現在、日本の自動車メーカーの多くは、自動運転システムの開発を海外企業と共同で進めています。しかし、Waymoやテスラのように自社でチップまで設計できる企業は、まだ限られています。
日本企業が今後競争力を保つためには、以下の3つの選択肢が考えられます。第一に、自社でチップ設計能力を獲得する。第二に、TSMCや日本の半導体メーカーと連携し、専用チップを共同開発する。第三に、ソフトウェアやサービス領域で差別化を図る。
いずれにせよ、「汎用チップを買ってくる」だけでは、Waymoやテスラといった先行企業に太刀打ちできない時代が近づいています。
Waymoの自社ASIC公開は、自動運転業界における「チップ競争」の幕開けを告げる出来事です。以下、要点をまとめます。
今後、自動運転の性能を決めるのは「どのチップを使うか」ではなく、「どれだけ自社の用途に最適化されたチップを設計できるか」になるでしょう。日本の自動車メーカーがこの競争でどう立ち回るのか、注目が集まります。
この記事は AI Friends からのクロスポストです。