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SNSで流れてきたマンガを、本物のマンガ家が描いたと思ってシェアしたことはありませんか?実はその署名、ChatGPTが勝手に書き足したものかもしれません。この記事では、何が起きたのかと、私たちが気をつけたい点を順番に説明します。
2026年10月7日、GIGAZINEの記事が、ある問題を紹介しました。元になったのは、ハーバード大学のジャーナリズム機関Nieman Journalism Labの報道です。
ChatGPTが「ザ・ニューヨーカー(アメリカの有名な雑誌)風」のマンガを作るとき、実在するマンガ家の署名を勝手に書き加えていた、という内容です。
きっかけは、2026年8月下旬に広まった1枚のイラストでした。歌手のドリー・パートンさんと俳優のティム・カリーさんが相次いで亡くなったと伝えられた直後のことです。
『ロッキー・ホラー・ショー』の衣装を着たカリーさんが、パートンさんと腕を組んで天国の受付を通る。そんな絵がXやFacebookで拡散しました。
右下には「BLoper」という署名がありました。これは、ザ・ニューヨーカーにマンガを描いているブレンダン・ローパーさんの署名です。ところが、実際に描いたのはローパーさんではなく、ChatGPTでした。
投稿した人は「ニューヨーカー風のマンガを」と頼んだだけでした。署名はChatGPTが自分で足していたのです。
ローパーさんのもとには、「これはあなたの作品ですか?」というメールが何通も届いたそうです。
自分の作品がAIの学習に使われていることは、以前から知っていました。それでも署名の偽造はもっと個人的な侵害だと感じたといいます。「私の名前は私のものです」と語っています。
署名は、その人が描いたことを示す証明です。ブランドの役目もあります。自分の名前が入ったChatGPT製のマンガが、InstagramやRedditで見つかったことも前にあったそうです。
2008年からザ・ニューヨーカーに寄稿しているエミリー・フレイクさんは、生成されたマンガに自分の作風が入っているように見える一方、自分が描いたものには見えないと話しました。「遠い親戚に会ったような感じです」という言葉が印象的です。
調査では、ChatGPTが署名を複製したザ・ニューヨーカーのマンガ家は15人を超えるとされています。
テストでは、線がすっきりして皮肉の効いた、白黒のマンガを作ることができました。ただし、オチの意味がわからない作品もありました。実在しないマンガ家のペンネームが署名されることもあったそうです。
実在しないペンネームまで出てくる点から、ChatGPTは署名を「それらしい飾り」として描き足している可能性があります。ただし、理由は報道では説明されていません。
OpenAIの広報担当者は、創造性の未来は人間が中心だと述べました。問題を報告したコミュニティに感謝し、対応できると説明しています。
報告のあと、「ザ・ニューヨーカー風のマンガ」と指示すると、第三者のコンテンツと似すぎるおそれがあるというガイドライン違反の警告が出るようになりました。
ところが、雑誌名を出さずに「マンガ風の画像を」と頼むと、実在するマンガ家の署名が入る例が確認されたと報じられています。つまり、警告は入口をふさいだだけで、根本の解決にはなっていません。
ザ・ニューヨーカーを発行するCondé Nastは、2024年にOpenAIと提携しました。GIGAZINEの2024年8月の記事によると、VogueやWiredなど各誌の記事を、ChatGPTなどの製品内に表示できる契約です。金額や期間は明らかにされていません。
ただし、ザ・ニューヨーカーの広報担当者は、マンガをAIの学習に使うことは許可していないと説明しています。ロゴの表示も契約では認めていないそうです。
さらに、マンガ家と雑誌の標準的な契約には、AIに関する条項がありません。雑誌は優先して掲載する権利を持ちますが、著作権はマンガ家本人が持っています。
そのためOpenAIは、雑誌との契約とは関係なく、ネット上に出回っているマンガを集めて学習した可能性があるとされています。
AIが学習データの「しるし」をそのまま出力する問題は、今回が初めてではありません。
2023年2月、画像素材会社のGetty ImagesがStability AIを訴えました。SiliconANGLEの記事によると、同社の画像生成AI「Stable Diffusion」が、Gettyの透かし(ウォーターマーク)を変形させて出力していたと訴えています。1200万枚以上の写真が無断でコピーされたとも主張しました。
透かしと署名では、被害を受ける人が違います。透かしは企業のブランドですが、署名は一人ひとりのマンガ家の名前そのものです。
NYTとOpenAIの裁判でも、AIと創作者の関係が争われています。GIGAZINEの2026年9月の記事によると、Microsoftの幹部が社内メモで、AI学習のためのデータ収集を「人類史上最大の労働窃盗」と書いていたことが明らかになりました。ただし、これはNYT側の準備書面に基づく情報で、前後の文脈は十分に示されていません。
日本でも、他人事ではありません。ChatGPTは日本語でも使えますし、マンガ家の署名が入ったAI画像が出回る可能性は十分にあります。
ある連載マンガ家が、自分の名前入りのマンガがSNSで広まっているのを見つけたと想像してください。描いた覚えはないのに、読者から「新作ですか?」と聞かれる。否定するだけで時間も気力も奪われます。
日本の考え方も確認しておきましょう。文化庁のページによると、2024年3月に文化審議会が「AIと著作権に関する考え方について」をまとめています。法的な拘束力はなく、判例も十分にたまっていません。
署名の偽造そのものにどの法律が当てはまるかは、個別の事情で変わります。気になる場合は、弁護士や文化庁の相談窓口に確認してください。
私たち利用者にできることもあります。たとえば、署名入りのマンガを見かけたら、すぐシェアせず、本人の公式アカウントや雑誌のサイトで確かめましょう。AIで作った画像は、AI製と書いて投稿すると安心です。
確認できた報道には、理由の説明がありません。マンガには署名が入っていることが多いので、AIが署名も絵の一部として覚えた可能性は考えられます。
いいえ。今回のように、ChatGPTが作った画像にも署名が入ります。本人の公式な発表を確認しましょう。
「ザ・ニューヨーカー風」と頼むと警告が出るようになりました。ただし、雑誌名を出さなくても署名が入る例があったと報じられています。
今回報じられたのは、ザ・ニューヨーカーのマンガ家です。日本のマンガ家での確認は、今回の取材範囲では見つかっていません。ただ、仕組みは同じなので注意が必要です。
署名入りのマンガを見かけたら、シェアする前に本人の公式発表を確かめてみてください。
この記事は AI Friends からのクロスポストです。