クラウドファンディングを始める時、
「リターンは何を用意すればいいですか?」
という相談をよく受けます。
リターンとは、購入型クラウドファンディングで、支援してくれた人へ金額に応じて提供する商品やサービス、体験などのことです。
ただ僕は、リターンを単なる「お返し」として考えない方がいいと思っています。
クラウドファンディングにおけるリターンは、
「このプロジェクトを支援したい」と思った人が、実際に支援するための理由をつくるもの
だからです。
この記事では、僕がリターンを考える時に大切にしているポイントを紹介します。
リターンを考える時、
「何なら用意できるかな?」
から始めることがあります。
もちろん、実際に提供できるものでなければいけません。
でも、それだけで考えると、
作れるグッズ。
自社の商品。
お礼のメッセージ。
など、「こちらが提供できるもの」の一覧になりやすくなります。
僕がまず考えたいのは、
誰が、このプロジェクトを支援してくれるのか。
そして、
その人は、なぜ支援したいと思うのか。
です。
そこからリターンを考えた方が、支援者にとって魅力のある設計になりやすくなります。
クラウドファンディングの支援理由は、人によって違います。
商品が欲しい人。
純粋に応援したい人。
限定体験に参加したい人。
会社として応援したい人。
プロジェクトに深く関わりたい人。
だから、リターンもひとつの考え方だけで作る必要はありません。
たとえば、
商品型
完成した商品、先行販売、限定セットなど。
体験型
イベント参加、食事会、見学、ワークショップなど。
応援型
お礼のメッセージや活動報告など、プロジェクトそのものを応援するもの。
参加型
名前掲載、企画会議への参加、制作過程への参加など。
スポンサー型
企業名・ロゴ掲載、イベント協賛など。
プロジェクトによって組み合わせを考えていきます。
大切なのは、
「何を売るか」だけでなく「どう参加してもらうか」
だと僕は思っています。
リターンは、ひとつの価格帯だけに集中させない方がいいです。
たとえば、
3,000円なら応援できる人。
1万円なら商品が欲しい人。
3万円なら少し特別な体験に参加したい人。
10万円なら法人として応援したい人。
支援できる金額も、支援したい理由も違います。
CAMPFIREでは、平均支援額が約1万円で、1万円以下の支援が全体の7割以上を占めるという統計があります。そのため公式でも、1万円前後に主力となる魅力的なリターンを置くことを推奨しています。
ただし、
「平均が1万円だから、全部1万円前後にする」
という意味ではありません。
低価格帯から高価格帯まで、支援者が自分に合った参加方法を選べることが大切です。
「リターンはいくつ用意すればいいですか?」
という質問もよくあります。
CAMPFIREでは10〜20種類程度が推奨されており、200万円以上を集めたプロジェクトでは平均約12個のリターンが設定されていたというデータもあります。
また、最新の統計では、公開時にリターンを10個以上用意したプロジェクトは目標到達率が高い傾向も示されています。
ただ僕は、
数を増やすこと自体を目的にしない方がいい
と思っています。
似たようなリターンが20個並んでいても、支援者は迷います。
それよりも、
「気軽に応援したい人」
「商品が欲しい人」
「もっと深く参加したい人」
「法人として応援したい人」
というように、
支援する人の違いに合わせて選択肢を作る
という考え方の方が大切です。
リターンを複数用意しても、
「全部同じくらい売れてほしい」
と考える必要はありません。
僕なら、
今回、一番支援してほしいリターンはどれか
を決めます。
たとえば新商品なら、
通常価格より少しお得な先行販売。
店舗なら、
オープン後に使える利用券や限定体験。
イベントなら、
参加チケットと限定特典のセット。
などです。
そして、
「このリターンが○件出たら、目標金額のどのくらいまで届くのか」
まで考えます。
リターン設計は、目標金額の設計ともつながっています。
目標金額をどう逆算して決めるかは、「クラファンの目標金額の決め方」で詳しくまとめています。
クラウドファンディングでは、
1万円以下の支援が多いからといって、低価格帯だけを用意すればいいわけではありません。
プロジェクトによっては、
5万円。
10万円。
30万円。
それ以上。
という高額リターンも考えられます。
たとえば、
企業スポンサー。
出張サービス。
貸切イベント。
商品開発への参加。
特別な体験。
などです。
高額リターンが1件入れば、低価格リターンを何十件集めるのと同じ金額になることもあります。
ただし、
価格を高くすればいいわけではありません。
その金額を支援する人にとって、納得できる価値や参加理由があることが大切です。
新商品のクラウドファンディングでは、
「通常価格10,000円の商品を8,000円」
のような早割リターンもよく使われます。
もちろん、これは分かりやすいメリットです。
でも、
安いことだけを支援理由にしない方がいい
と僕は思っています。
たとえば、
クラファン限定。
先行して受け取れる。
開発ストーリーに参加できる。
支援者限定イベントがある。
名前が残る。
など、
クラウドファンディングだからこその価値をつくる。
そうすると、
「安いから買う」
だけではなく、
「今、この挑戦に参加したいから支援する」
という理由になります。
リターンを考える時に忘れてはいけないのが、利益が残るかどうかです。
たとえば1万円のリターンでも、
商品の原価。
送料。
梱包費。
クラウドファンディングの手数料。
などがかかります。
これを計算せずに価格を決めると、
支援はたくさん集まったのに、プロジェクトを実行するためのお金が残らない
ということも起こります。
CAMPFIRE公式でも、価格設定時には制作費・梱包費・送料・手数料などを含めて計算するよう案内しています。
また、リターン価格は送料と消費税を含んだ金額で設定する必要があります。
意外と大事なのが、
本当に全部提供できるか
という確認です。
たとえば、
「個別相談100件」
というリターンを出して、本当に100人対応できるのか。
限定イベント50人分を出して、運営できるのか。
商品を500個販売して、期限までに製造・発送できるのか。
クラファンでは、
支援が入った時点で約束になります。
「こんなに売れると思わなかった」
では済みません。
リターン設計を含め、公開前に確認しておきたい失敗パターンは、「クラファンで失敗しやすい7つのケース」でも整理しています。
数量に限界がある場合は、最初から限定数を設定します。
なおCAMPFIREでは、一度公開したリターンの限定数は後から変更できないため、公開前に現実的な数量を決めておく必要があります。
リターン名だけでは、支援者は判断できません。
たとえば商品なら、
サイズ。
内容量。
個数。
発送時期。
送料。
使用方法。
など。
イベントなら、
日時。
場所。
参加人数。
含まれる内容。
など。
支援する側が、
「支援したあと、何が届くのか」
を具体的にイメージできるようにします。
CAMPFIREの統計では、リターン説明文が200文字以上あるプロジェクトの方が目標到達率が高い傾向も示されています。
長く書けばいいという意味ではありません。
必要な情報を、分かりやすく書くことが大切です。
最後にまとめると、僕ならリターン設計でこの5つを確認します。
① 誰が支援するのか
支援者を具体的に考える。
② なぜ支援するのか
商品、応援、体験、参加など、支援理由を考える。
③ いくらなら支援しやすいか
低価格から高価格まで幅をつくる。
④ 目標金額につながるか
主力リターンと必要支援数を考える。
⑤ 本当に提供できるか
原価、送料、時間、数量まで確認する。
この5つです。
クラウドファンディングでは、
プロジェクトへの想いが大切です。
でも、想いだけで支援できるわけではありません。
「応援したい」
と思った人に、
「じゃあ、どうやって参加すればいいのか」
を示す必要があります。
その役割を持っているのがリターンです。
商品を受け取る。
イベントに参加する。
名前を残す。
スポンサーになる。
一緒につくる。
支援者によって参加方法は違います。
だから僕は、
リターン設計とは、支援者の参加方法を設計すること
だと思っています。
その参加方法を、ページ全体の流れの中でどう見せるかは、「支援されるクラファンページの作り方」で詳しく解説しています。
「何を返そう?」
だけではなく、
「このプロジェクトに、どんな形で参加してもらいたいか?」
から考えてみてください。
・支援されるクラファンページの作り方|長いストーリーの前に必要な「入口」
・クラファンで失敗しやすい7つのケース|公開前に確認したいポイント
クラウドファンディングについて相談したい方は、僕のプロフィールページからご確認ください。